いい具合に寂れています、今も残る昭和の風景。
大町町の観光マップにある「本通り商店街」は寂びの情緒がたまらない昭和が楽しめる場所。
明治に炭鉱が開口され、杵島炭鉱の炭鉱町として大いに栄えた大町町。昭和16年の最盛期には24,000人が暮らした町も、今では約6,800人と人口の流出が止まらず、全国にある多くの元炭鉱町と同じ運命を辿っています。
しかし、炭鉱の閉山とともに忘れられていった町だからこそ、炭鉱時代の街並みが残る魅力的な景観を今に伝えています。そんな大町町の商工会で紹介されていた観光スポット、昭和の風景を今に残す「本通り商店街」を歩いてきました。
佐賀市から武雄市へと向かう国道34号線沿い、JR大町駅に隣接する「おおまち情報プラザ」から散策をスタートします。
東側にある歩道橋を渡って、山に向かって真っ直ぐ進んでいくと哀愁漂う寂びた商店街が見えてきます。トタン屋根など色合いや形状など、様々な表情をみせる古い建物が並ぶアーティスティックな街並み。
ここが、かつて大町町で黒山の人で賑わい、並べておけば何でも売れるといわれた「本通り商店街」です。どうですかこの建物の色使い、作ろうと思っても作れない偶然が生んだ個性的な景観。これぞ正真正銘のアートですよね。
ご多聞に漏れずここもシャッター通りになっていて、今では営業している店のほうが少ないくらいになってます。
しかし、まだまだやる気の家主が居るようで、貸店舗の張り紙がありました。惣菜店や弁当屋に向いた造りをしていますね。
商店街の一番悪い所は、店が閉店すると新しい店がオープンしてこないところなんですよ。顧客の嗜好が変わっても、店の入れ替わりが無く変化がない。人口の減少云々や駐車場の問題よりも、時代とともに店が変化していかない事が衰退の原因なんですよね。
向かい側には見ごたえ十分の古い建物。今は営業していないようですが、個性的な建物ですね。
この道は福母神社の参道商店街になっていて、神社の門前まで続きます。
味のある古い建物で営業中の精肉店
うわ~、この店も年季入ってますよ。二階の窓とか、モダンな建物が魅力的な衣料品店。今風の奇麗な街並みよりも、こういう昔の個性的な建物が並んでいる方が見ていて面白いです。
商店街から入る脇道
奥に進んでいくと、こんなに素敵な家がありました。古くて立派な和風建築です。
この建物も古そうですが、正面は綺麗にリフォームされています。居酒屋みたいです。
かなり広い無料駐車場があります、自動車での買い物も便利。
国道34号線から北へ向かって本通り商店街の2/3くらい歩いたでしょうか、途中で来た道を振り返ってみました。
さて、ここからが本番、更なるディープゾーンへと北上していきます。
通りの脇には擁壁が組まれ、その上は炭鉱住宅が残っています。
擁壁に張り付くように建つテナント、狭い場所の有効活用ですね。
店の窓に貼ってあるポップ。どんな食べ物なのか気になるのですが、このお店は営業しているのでしょうか?
※読者の方からの情報で、コチラのお店はバッチリ営業しているそうです。近いうちに「なべちゃん焼き」をレビューしますよ!
昔は隙間なく店が並んでいたんでしょうね、土間などが残っています。少し歯抜けになっていますが、これもまたアジのある建物。居酒屋でしょうか、暖簾が出ているので営業中です。
看板の色が歴史を感じさせます、昭和ですよ昭和、リアルな昭和の風景です。
その横には、見事な廃墟感が魅力の建物。たこ焼き屋だったようです。
丁度この建物の裏が駐車場になっていて、そこから炭鉱住宅へと繋がる通路があるんです。
タコ焼き屋だった建物の裏から登っていくと、そこはタイムスリップしたかのような街並み。
見事に残る炭鉱住宅。ここはまだ少ないですが、山手の方に行くともっと大規模に残っています。これが大町町の魅力、昭和の街並みです。
こういう風景、イイですね。かつては多くの人が暮らし、賑わっていたのでしょう。日本がまだ豊かで、元気に満ち溢れていた時代の街並みです。
炭鉱住宅街から商店街に戻ると、大町町公民館があります。その向いには、大きな元レンタルビデオ店の跡。スーパーくらいの大きさの大型店です。
※読者の方からの情報で、こちらはスーパーだったそうです。レンタルビデオ店は東側の一部だけだったとの事。どうりで…ですよね、この規模だとレンタルビデオの超大型店ですよ。
カラオケ店も併設していたようで、かなり賑わっていたんでしょう。かつての賑わいの痕跡というか、何とも哀愁漂う光景です。
ここで商店街は終わりのようですが、さらに先へと進んでいくと大町町で唯一?のアーケードを発見。
商店街のアーケードではなく、個人宅専用のアーケードみたいです。脇道の奥には、お寺。なんとも、不思議というか特徴のある光景です。
駅からここまで、ゆっくり歩いてきましたが距離はそれほどありません。この道を更に進むと、当サイトでも紹介した昭和人情のショッピングセンター「広場マーケット」があります。
ぶらぶらと歩いていても、全く飽きの来ない街並みですね。更に北上していくと、本格的な炭鉱住宅街が残る地区になります。
昭和の街並みといえば、一時期ブームになって今でも根強いファンが多いんです。大町町は観光地として作られた街では無く、リアルな昭和の街並みがそのまま残る町。
マイナー県のマイナーな町だからこそ残せた、古い区画が生活する人々と共に残る町。昭和の街並みが好きな人なら、町歩きを楽しめる散策スポットです。