「千栗八幡宮」福岡県との県境にある、絶景スポット。もう一つの肥前国一宮。
一宮といえばその国を代表する神社で一つしかないのが一般的ですが、肥前国には與止日女神社と千栗神社の二つがあります。他にも隣の福岡県にあたる筑前国も二つの一宮があり、尾張(現愛知県)なども二つ一宮があるので特別珍しい事ではなさそうです。
今回紹介する千栗八幡宮があるのは佐賀県三養基郡みやき町、筑後川のすぐ近く福岡県との県境にあたります。なので、最寄り駅は福岡県のJR久留米駅。久留米駅の北西約2.4kmなので、JR久留米からでも歩いて行ける距離なんです。
現地に行ってみると、一の鳥居の手前に川から参拝するための道がありました。河川改修が行われる前は、筑後川がここに流れていました。
川から上がって、正面に見えるのが一の鳥居。この鳥居は、佐賀藩祖、戦国の名将「鍋島直茂」によって1609年に寄贈されたもの。鳥居の横に由緒書きがあり、それによると千栗八幡宮は724年に創建されたそうです。
一の鳥居からは、急峻な石段が続きます。
石段を上りきると二の鳥居があり、すぐ正面に拝殿がありました。
まずは拝殿に参ります。
参拝を終えて後ろを振り返ると、肥前狛犬に関する案内看板がありました。
ゆるキャラのような可愛さでファンが多い、肥前狛犬。その初期のころに作られた狛犬が安置されているとのことで、もう一度拝殿へ。
どうやら龍造寺一門の「龍造寺信親」ともう一人、または両方とも信親によって、1583年寄贈されたもののようです。判読できない文字があるため、はっきりとどちらと断定できないみたいですね。
ちなみに、龍造寺信親は龍造寺隆信の叔父の息子に当たる人物。分家であった水ケ江龍造寺から本家を相続した隆信に対し、信親は村中本家筋の人物です。
佐賀のゆるきゃらは「肥前狛犬」でいいんじゃないの?と思うくらい愛嬌ある狛犬です。最近は紹介したい場所はたくさんあれども取材に使える時間が足りないという状況になってますが、ひと段落したら「肥前狛犬コレクション」とか記事にしてみたいですよね。
ということで、再び境内に視線を戻して、拝殿から本殿方向へ回ってみます。
境内にある社務所。
境内はかなりの広さがあります。
東の端には展望所がありました。
展望所からの眺め、正面に真っ直ぐ伸びる県道145号線。真っ直ぐ先に見えている高層の建物がある場所は久留米市です。
少し南方向、豆津方向を撮影。ここは佐賀の乱で熊本鎮台第十一大隊が久留米から上陸、待ち構える佐賀反乱軍の憂国党が死闘を繰り広げた場所です。
神社の麓を流れるこの川が、以前の筑後川でした。筑後国と肥前国の国境の地なので、中世においても戦乱の地となって来たそうです。
拝殿や本殿がある山頂部の裏手には駐車場が整備されていて、石段を上れない人は自動車で頂上まで上ることができます。
さて、帰りはまた石段を下りていきます。
千栗八幡宮の麓、一の鳥居前の道は旧街道の面影を色濃く残しています。この通りはのこぎりの歯のように、ギザギザに建物が並んでいるんです。
このギザギザは、防御のために先を見通せないようにすると同時に、家の陰から敵を奇襲するための構造と言われています。佐賀城の城下町や、真田氏の居城として有名な上田城の城下町、姫路城の城下町でも見られる構造です。
千栗八幡宮から西に向かうと、中世の城「千栗城」がありました。この道は城へと続いているので、城を防衛するための役割も担っていたのかもしれません。
佐賀の乱ゆかりの地を巡っていたらたどり着いた千栗八幡宮。何気なく立ち寄ってみたのですが、思った以上に見どころの多い場所でした。
知らない土地に行くと、その場所ごとに違った歴史が刻まれていて面白いですよね。佐賀には古代や中世の遺構が各所に点在しているので、歴史に興味があるならぜひ訪れてもらいたい場所です。
「千栗八幡宮」
MAP:佐賀県三養基郡みやき町大字白壁千栗2403 Googleマップへ
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