小城市の千葉城跡、須賀神社のすぐ近くにドーンと目立つ町屋「深川家住宅」へ行ってきました。
小城市といえば千葉城跡、肥前国で大きな勢力を誇った肥前千葉氏の本拠地。千葉氏は桓武平氏の末裔、下総国千葉郡の千葉荘を本拠地とした豪族。源頼朝の挙兵に従って源平合戦に従軍し、平家との戦や奥州藤原氏討伐で活躍しました。小城市を本拠とした肥前千葉氏は、九州にある所領を治めた一族。戦国時代初期は龍造寺も千葉氏に従っていました。
そんな千葉氏のおひざ元、須賀神社のすぐ近くにドーンと江戸時代の町屋があります。ここが「深川家住宅」。何度か前を通ったことがあったのですが、いつも閉まっていたので立ち寄ることが出来ませんでした。調べてみると金、土、日しかオープンしていないとのことで「このまま見に行けないかもしれない」と思っていたところ、今月から金曜日が休みになったためにようやく立ち寄ることが出来ました。
深川家住宅があるのは、千葉城跡(須賀神社)のすぐ南側。
道路を渡ってすぐ近くには、小城羊羹資料館で有名な村岡屋総本舗。
深川家住宅はコチラ、江戸時代の町屋造り。存在感抜群、見事な町屋です。
町屋部分は「揚羽」というカフェになっていて、金・土・日曜日限定でオープンしています。
揚羽紋の青い暖簾が江戸時代っぽくていいんですね。情緒たっぷり。
営業時間の案内が書かれています。毎週金・土・日の三日間だけの営業と書かれています。
この建物は造り酒屋の町屋、江戸時代末期のもの。佐賀県遺産に登録されています。
中に入ると、町屋らしく土間が続き左手に座敷と板の間。座敷と板の間は、カフェの客席として使われています。
内装は歴史を感じる重厚な造り。やっぱ古い建物の実物は、持ってる雰囲気が違いますね。
上を見上げると、酒屋の名残が。改装されているのでしょうが、江戸時代の建物の雰囲気をそのまま残した見事な町屋です。
座敷に上がって、土間を撮影。当主が実際に着ていた裃も展示されています。
仏間と座敷。
長押(なげし)には薙刀の木刀が掛けられています。武家の屋敷ならここに槍がかかっていて、手にした侍が「むっ」とか言いながら天井を突くんですよ。肥前には忍者がいたそうですからね。
おぬしも悪よのう、ウッシッシ・・・は違うか。時代劇の見すぎw
長押にシャレた釘隠し。昔の商家って、こういう細かいところも凝ってるんですよね。
奥まで行くと廊下があって御手洗。中庭もありました。
座敷奥から、入り口方面。
板の間はテーブル席になってますね、和洋折衷で文明開化の音がしてきそうです。シャレてるなぁ。
入り口の扉をよく見ると、大きな木戸が内側についているんですよ。天井に張り付くようになっていて、これを降ろせば入り口を塞ぐことが出来ます。
へ~~って感じですよね、今はシャッターがありますが昔は内側から木戸で閉めてたんですね。
深川家住宅の中に飾られた古い箪笥などのインテリア。貴重な品々、歴史を重ねた道具を使ったオンリーワンのコーディネート。他では見られません。
さて、散々うろうろしていますが、ここはカフェです。当然ながら飲食できます。お腹も空いたし、何か食べていきましょう。
テーブル上にあった深川家住宅カフェ「揚羽」のメニュー。ランチは700円のカレーのみ。300円プラスすると、コーヒーとプリンが付いてきます。
注文したのはカレーセット。サラダはセットじゃなくても付いています。
まずはサラダ、佐賀のお店は野菜の美味しい店が多いんです。何といっても、野菜の味と香りが強いんですよね。野菜は収穫された瞬間から味が落ちていきますから、こういう野菜は生産地ならでは。最高の贅沢。
輸送から市場を経由して、仲買、小売と数日かけて売られているスーパーの野菜とは違います。味付けや料理は都会の方が美味しくても、素材の味だけは産地の勝ちです。
メインのカレーを食べてみると・・・うん、普通にウマい。トッピングにハードボイルドなゆで卵とブロッコリー。特別何か特徴がある訳でもないけど、これはこれで美味しい。
小皿に盛られていたこのスナック菓子のような物。なんでしょ、何かの豆でしょうか。サクッとして、薄味の素朴な味が旨い。見た目はカンパンみたいだけどね、豆っぽい味がしました。
お茶と一緒に出されていたのが、小城名物の羊羹。表面がシャリッとしているむかし羊羹、シャリシャリの砂糖がたまりませんね。
カレーは飲み物!って、誰が言ったんでしたっけ。
私もカレーは飲んじゃうほうなので、あっという間に食べ終わって出てきたのが「デザートのコーヒーとプリン」
御膳にのっています。
自家製プリンでしょうか、しっかり素材の味がして優しい甘さ。コーヒーとよく合います。
古い町屋の静かで落ち着いた雰囲気の中で、ゆったりとしたランチを楽しんだ後は庭を見に行きます。
綺麗に手入れされた庭。
母屋の裏には、明治時代に建てられた土蔵がありました。
古い日本家屋、とっても絵になります。佐賀の人にとっては当たり前にあるのかもしれませんが、都会じゃなかなか無いんですよ。
一通り庭を散策した後に、ぐるっと横の道へ回り込んでいくと・・・これまた風情のある光景が。
横にある水路と、それにかけられた石橋。そして門。とってもいいですよね、ここだけ時代が止まったような風景。江戸時代の姿を想像することが出来ます。
水路を挟んで隣に建っている家もとってもいい雰囲気。
深川家住宅がある界隈はレトロな雰囲気を残していて、とてもいい場所なんです。千葉氏が治めた時代にはここが千葉本城の城下町でした。江戸時代には小城鍋島藩によって整備され、須賀神社への参道となっていました。かつての繁栄をうかがわせる場所、そして佐賀最大の魅力である寂びの風景。
この深川家住宅を建てた「深川氏」の事をネットでイロイロ調べていると、面白い資料が見つかりました。
佐賀県の深川家: 肥前国の小城城下の豪商。熊野の鈴木氏の末裔という。肥前国小城郡深川(佐賀県小城市)に住んで深川氏を称した。
佐賀県の名字の特徴 より
熊野の鈴木氏といえば、日本における鈴木姓の本家本元。本姓を穂積朝臣とし、熊野の神官の家柄。熊野と言えば和歌山、紀伊の国。紀伊で有名な鈴木姓といえば、雑賀鈴木氏「雑賀孫一」ですよ。佐賀の深川氏に所縁があるかどうかは不明ですが、こうやって考えると面白いですよね。
小城の深川氏は、鎌倉から室町時代にかけて小城郡深川を治めた地方領主だったそうです。小城一帯を領した千葉氏に従っていましたが、江戸時代に小城鍋島藩が成立したころに商いを始めて商人となりました。
こういう歴史を紐解く切っ掛けともいえる、古い建物がたくさん残っている佐賀。知れば知るほど深みにはハマってしまい、休日は農業してる時以外ほとんど佐賀に行ってるし、仕事中も佐賀の事が頭から離れません。すっかり家族にも呆れられてしまいました。ある意味危ない場所です(笑
「深川家住宅 揚羽」
MAP:佐賀県小城市小城町上町877⇒ Googleマップへ
営業時間:金・土・日曜日の11:00から16:00
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