「松原親和マーケット」佐賀レトロタウン、失われゆく素敵で個性的な街並み

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佐賀のレトロスポット「松原親和マーケット」この街並みがとっても素敵なのです。

「佐賀で一番好きな場所は?」と聞かれて、真っ先に思い浮かぶのは佐賀市の松原神社界隈の風景。佐賀のWebメディア「Clip!SAGA」のインタビューを受けたときも、真っ先に「松原神社界隈」と答えさせていただきました。

インタビュー記事⇒INTERVIEW:佐賀ポータル – 想像もつかないくらい面白いネタが無造作に転がっていた/Clip!SAGA

ここには佐賀の中心地として栄えた時代の面影が色濃く残っていて、市の人口減少と郊外への人口移動によって衰退していく「哀愁をまとった」街並みが残っているんです。戦後の動乱期から昭和の高度経済成長、繁栄の時代。そこから少子高齢化、地域格差、人口の流出、止まらない衰退。光と影、廃退の美学といいますか、見事な寂びの風景が広がっています。

何だか切ないような、悲しいような、それでいてどこか懐かしく温かい街並み。素朴で飾らない「あるがまま」の姿。

古くは江戸時代城下町の面影を色濃く残し、昭和の繁栄を今に伝える生き字引。これぞまさに「レトロな街並み」ですよね、とっても魅力的な場所なのです。

そんなわけで少し前置きが長くなりましたが、私が大好きな松原神社界隈から「松原親和マーケット」今まさに消えゆくレトロな商店街を歩いてきたので紹介します。

松原親和マーケット1

かっぱたちが無邪気に遊ぶ松原川、松原神社の脇を流れる川です。そこに架かるレトロな橋を渡れば、今まさに消えていく昭和の風景が広がっていました。

松原親和マーケット2

昭和30年代や40年代を彷彿とさせるような光景、かつては数多くの店舗が立ち並び賑わっていたそうですが今では歯抜け状態。なんとももったいない、これだけの規模でレトロな商店街が綺麗に残ってたら観光スポットとして話題になりますよ。

松原親和マーケット3

既に解体が始まっていて、多くが駐車場になっているようです。そんな中でまだ建物が残ってる方へ歩いて行くと、時代を感じさせるタイルがモダンなお店がありました。ここには現役でしょうか。

松原親和マーケット4

隣が解体され、切り離された跡も生々しいレトロな建物。

松原親和マーケット5

斜めに張り付けたような白いタイルが個性的。

松原親和マーケット6

木枠のサッシ、とてもレトロな建物たち。奥に見えてる見事な壁は、徴古館という博物館です。

松原親和マーケット7

徴古館の敷地との間にある狭い路地、ここにもレトロカッコいい建物があるんです。

松原親和マーケット8

狭い通りを抜けて振り返ってみるとほら、どこかスイスの山小屋の雰囲気を漂わせるお店がありました。スイスの山小屋って、ただ建物についてる十字がスイス国旗っぽいのでそう思っただけですが。

松原親和マーケット9

さらに回り込んだらレトロな二棟の建物が並んでいました。なんとなく構図が気に入ったので撮影。

松原親和マーケット10

そして途切れたアーケード、このあたりがマーケットの中心ストリートだったのでしょうか。市場の雰囲気が残っています。一番手前の建物、横の建物と切り離した部分をブロックで固めています。

松原親和マーケット11

アーケードのほうに歩いて行くと、さらに向こうにも部分的に屋根が残っています。かつては繋がっていたはず。店が立ち並んでいた場所は、今は駐車場になっています。

松原親和マーケット12

後ろを振り返ってみると徴古館という博物館の建物。

松原親和マーケット13

アーケードの手前まで来て十字路から神社方向、この先に佐賀神社がドーンと建っています。佐賀神社は佐賀の英雄「龍造寺隆信」と佐賀藩祖「鍋島直茂」が祀られている松原神社の中にあります。

松原親和マーケット14

角にある食料品店、中からテレビの音が聞こえてきます。こういうゆる~い感じも昭和ですよね、昔はもっと他人に寛容だった気がします。今の時代は互いに正義を振りかざして、相手を裁きあう窮屈な時代。絶対正義なんてないのにね。

そう考えるといろんな人がいて面白かった。こういう場所を歩いていると、センチメンタルな気分になります。

松原親和マーケット15

少し神社のほうへ歩いて行きましょう。見事な燈篭が建っています。

松原親和マーケット16

神社の鳥居から見た松原親和マーケット。神社の脇に広がる一大マーケットゾーン。

松原親和マーケット17

給湯器の煙突がレトロでカッコいい、木枠のサッシも様になってます。

松原親和マーケット18

再びアーケードに戻ってきて、このままアーケード街だった場所を歩いて行きます。

松原親和マーケット19

入ってきた方向を振り返る、けっこうな広さですよね。この先にも店が連なっていたんでしょう。

松原親和マーケット20

さて、先に見えていたアーケードの前までやってきました。ここもまた見事、建物が切り離されて歯抜けになった感じがいいですね。作られたレトロじゃない、リアルなレトロがココにあります。

松原親和マーケット21

後ろを振り返ると、正面にドーンと聳え立つマンション。時代の移り変わり、ちょうどその途中の風景が目の前に広がります。

しかし場違いなほど大きなマンションですね。集合住宅を増やせば土地の需要を食ってしまう訳ですから、不動産の流動性が無くなって空き家問題にも悪影響を及ぼすというもの。

条例で土地面積あたりの戸数制限、戸数に対する必要な駐車場完備数をいじって広い土地が必要になるようにするなど、土地の広さで人口密度をコントロールすればマンション建設を抑制する政策はとれるはずなんですけどね。

松原親和マーケット22

話しを戻してアーケードの続きです。上を見てみると屋根は木枠、時代を感じさせるアーケード。

松原親和マーケット23

解体された建物の床がまだ残っています、生々しいですね。かつてはこの床の上で多くの人々が食事やお酒を楽しんでいたのでしょう。

松原親和マーケット24

ここが終点、佐賀で有名な肉まんじゅうのお店「鶴乃堂本舗」があります。アッサリ薄味、素材のうま味を活かした素朴な味わいが人気のお店なんです。コンビニの肉まんが好きな人にはアッサリしすぎて好みに合わないかもしれませんが。

松原親和マーケット25

そしてアーケードを抜けて、来た道を振り返ってみました。どうですかこの迫力、時代を重ねた建物って存在感がありますよね。

松原親和マーケット26

こういう昭和の建物って、右肩上がりで成長していく時代のものですからね。なんというかギラギラしたエネルギーのようなものを感じるんですよ、少し危なっかしいけどパワーがある。しかしそんな昭和の街並みも、こうやって失われていくんです。

松原親和マーケット27

ここ「松原親和マーケット」は敗戦直後の時期、佐賀神社の西側にある徴古館の土地を借りて引揚者を受け入れ、市場が開かれたのが始まり。まさに戦後のどさくさ、ドヤ街のような雰囲気を残す場所。少し前までは怪しげな劇場などもあったらしく、できればその頃に訪れてみたかった。佐賀を知るのがもうあと5年、いや10年早ければ面白かったのかもしれません。

九州だと小倉駅周辺や若松エリアなど、あのガヤガヤした危なっかしくギラギラした感じが大好きなんですよ。しかしそんな場所も次々に取り壊され、どこの地方都市でも似たような無個性な街並みになっていく。

この場所が今後どうなるのか知りません。昔はどこにでもあった街並みが残されることで、数少ない個性的な街として人気になるなんて事例は山ほどある訳で・・・まあ、この状態になってしまったら戻る事もできません。なので今さらですが。

松原親和マーケット28

今まさに消えていこうとしている昭和の風景、いつまで見ることが出来るか分かりませんが佐賀の中心市街地が賑わっていた時代の残滓。いまは郊外に出来た県外資本の大型マーケットにすっかりやられちゃってるみたいですが、それでも繁華街が持つ魅力を今に伝える貴重な場所。

松原神社界隈にはこういった場所がまだまだ残っていて、新たな賑わいをもたらそうと頑張っている人たちがいます。いつの日か昭和のドヤ街のような賑やかさが戻ってくることを願うしかないですね。

オシャレでクールな街並みになったらもう二度と来ませんけどねw

そんな街は都会にいくらでも大規模なものがあるので、地方まで行く必要がないですもん。なぜ地方が面白いのか、それは都会が失ってしまった古き良き時代の面影が今も残っているからだと思うんです。子供の頃に親に連れられて買い物に行った市場の風景、雰囲気。肉屋の前でねだって買ってもらったコロッケの味。都会では失われてしまっても、田舎に行けば思い出すことが出来る。

そんな場所が近くにあれば、時どき訪れたくなりますよ。佐賀にはまだ昔の面影が色濃く残っています。この場所はもうなくなりますが、残っている場所は大事にしてもらいたいですね。まあ、余所者の勝手な願望ですが。

「松原親和マーケット」

MAP:佐賀市松原2丁目6−15(鶴乃堂本舗)⇒ Googleマップへ

※この記事は私が訪れたときのものです、現状と異なる場合があります。ご了承の上でご覧ください。





 

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たくや@非正規編集長非正規農家兼ブロガー

投稿者プロフィール

現在は非正規社員で非正規農家、非正規ウェブメディアの自称編集長。
主に営業畑を渡り歩き、広報企画担当時にマーケティングを実地で勉強。
一部上場企業で営業課長、ベンチャー企業では営業本部長という肩書を貰った事もあります。
全国10以上の都市に転勤し、都会と田舎の格差に驚愕。地域活性化に興味を持ち、まちおこし関連の仕事をすることが現在の目標。

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