佐賀が一番ドラマチックで躍動していた時代は南北朝から戦国時代ですよね。
「佐賀県立博物館」の常設展示は無料で見学出来るんです!佐賀の歴史を体感できる貴重な施設。
佐賀をあっちこっち見に行ってみて感じるのは、佐賀の歴史の中で一番面白い時期は室町・戦国時代だと思うんですよ。戦国初期の九州三国志「少弐」「大友」「大内」の三つ巴の戦い。肥前国(佐賀・長崎県)では、筑前大宰府と佐賀を治める肥前守護家「少弐氏」と佐賀の有力豪族「千葉氏」、現在の長崎を中心とする勢力、肥前西部の「有馬氏」「松浦党」。東からは九州の王者「大友氏」の圧力、北からは本州から渡ってくる「大内氏」の侵攻。そのような状況の中で、国を追われ滅亡の危機を迎えながらも不死鳥のように返り咲き、遂には下剋上を成し遂げた「九州唯一の下剋上による戦国大名」である「龍造寺氏」の台頭、躍進。戦国末期の九州三国志「島津」「大友」「龍造寺」の時代の到来と、龍造寺隆信の戦死から豊臣秀吉による九州仕置まで。
熱い、熱い時代ですよ。城跡などの遺構も各所に数多く残されていて、九州において最も激しくドラマチックな戦国史がある地域なのに…なぜか、戦国時代の資料を展示する資料館などがほとんど無い!んですよ。おかしいですよね?
そんな中で、ここ「佐賀県立博物館」は数少ない戦国期の佐賀に関する資料などの展示がある場所なんです。これ、とっても貴重ですよ。
博物館の入口を入ると、広々としたホールになっています。静かで落ち着ける場所なので、佐賀観光の途中で休憩する場所に最適。古墳から出土した石棺が展示されています。
この日は、元気なワラスボも展示されていました。
入場料は無料、ここから階段を上がって展示スペースに向かいます。
最初の展示スペースは、佐賀の自然をテーマにした内容です。佐賀県内の地層や、発掘された化石、鉱石などがあります。
さらに、佐賀に住む生き物の標本や模型が展示されています。有明海の干潟を分かり易く再現した模型は、見ごたえ十分。ワラスボやらムツゴロウ、シオマネキがどんな場所で住んでいるのか、一目瞭然です。
順路を進んで、3階に上がると古代から中世の展示があります。
佐賀と言えば「吉野ヶ里遺跡」に代表される、古代国家が栄えた地域。様々な出土品と、古代国家の説明パネルなどが展示されています。
古代の人々が使っていた道具の数々、素材は石や木ですが造りは今とあまり変わっていない気がします。釣り針やモリ、杓子など、古代も今も、人の生活に使うものというのは同じなんですよ。こういう道具をみていると、何をどう使っていたかが容易に想像できるので、古代の人を身近に感じる事が出来ます。これはイイ!
古代の人々が暮らす集落「ムラ」から、ムラの集合体である「クニ」へと変わっていく時代の説明。ちょうど、吉野ヶ里遺跡の時代です。
続いて、古墳時代から中世の佐賀に関する展示。ここからですよ、佐賀が一番アツい時代は。
仏教が広がり、律令国家が形成されていく時代の出土品などが展示されています。仏教伝来といえば、聖徳太子の時代ですね。
そして武士の時代がやってきます!
でました!佐賀最大の英雄「龍造寺隆信」です。ただ、戦国時代の展示がメチャメチャ少ない!
少弐は?千葉は?有馬は?…全くもって展示が少なすぎです。せめて代表的な城跡や、豪族に関する展示があっても良さそうなんですけど。戦国初期、末期両方の九州三国時代の中心地ですよ佐賀は。
なぜなんでしょう?城跡などの遺構は、当時の面影を残したまま数多く残っているんです。それ相応に出土品があったり、調査資料があったりするものじゃないですかね。佐賀に通うようになって思うのは、佐賀って龍造寺の時代を避けてません?
どうも、そんな気がするんです。
コチラは桃山時代、豊臣秀吉の朝鮮出兵時に築かれた名護屋城と城下の絵です。確か、蓮池城の天守が移築されたんですよね。絵の中に書かれているのでしょうか。
ということで、鍋島時代の展示が並びます。他の施設には戦国時代の展示がほとんどないため、これだけでも貴重なんですがとにかく少ない。
龍造寺隆信の時代を、なぜ佐賀の人は避けるんだろう?と考えながら歩いていると、おぉッ!この鎧はッ!龍造寺隆信が着用したという甲冑が展示されていました、これは感動ものです。
胴は鉄板を重ねた無骨で頑強な造り、天狗を模したと思われる面が特徴的です。
説明書きによると、身に着けたことがある甲冑のようですね。
さらに、兜には弾痕があります。火縄銃では兜を貫通する事が出来なかったようです。かなり生々しいですが、試し打ちなのか着用して撃たれたのか、どうなんでしょう。
中世の展示があると聞いていたので楽しみにしていたのですが、展示の少なさに少しガッカリです。せめて、水ヶ江城など佐賀特有の環濠平城の模型があると、城跡めぐりの際にイメージが膨らんで楽しめるんですけどね。残念。
ということで順路に沿って進んでいきます。次は、企画展などを開催するスペース。私が訪れた時は、肥前刀の展示がされていました。
企画展示のスペースを抜けると、「民俗」の展示スペースがあります。最後の展示になる展示室で、庶民の暮らしに関する展示物が数多くあります。
まず目についたのが、住宅の模型です。この模型はアレですね、山口家住宅を元に作られた模型じゃないですか。
コチラはクド造りの家。内部の細かい所まで作りこまれています。
他にも農機具などが沢山展示されています。キョロキョロしながら歩いていると…なんじゃこりゃ!
とてつも無くデカイ銃が展示されています。これはもう、銃というより大砲ですね。鴨を撃つ銃らしいのですが、これで散弾を撃ったそうです。広範囲に弾をばら撒くというコンセプトなら、今で言う榴弾砲みたいなものでしょうか。とにかく、銃じゃなくて砲ですよ。
和船の模型がありました。この周りにはクジラの解体道具など、クジラ漁関連の展示がされています。
いつも近くを通るだけで、今回初めて立ち寄ったのですが「佐賀県立博物館」は、無料とは思えない面白空間でした。展示内容も興味深く、知的好奇心をくすぐられる場所です。これはお得、まだ行った事がない人はぜひ行くべきですよ。
ただ、残念なのは中世佐賀の展示が少ない。県内には城跡などの遺構が数多く残っているだけに、それらを補足する展示があると100倍楽しめると思うんです。佐賀はまるで、天然の博物館みたいですから。特に、南北朝時代から戦国末期までの展示を充実させてほしいです。
これからの展示で、戦国時代の佐賀がクローズアップされる事を期待しています。
「佐賀県立博物館」
MAP:佐賀市城内1丁目15−23 Googleマップへ
開館時間:9:30から18:00
休館日:月曜日、年末12/29から12/31、燻蒸期間及び県展準備期間
お問合せや詳しい情報は、下記リンク先の公式サイトをご覧ください。
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