国民の一人として、自民党はともかく安倍総理就任以来、外交面での安定感は頼もしいですね。しかし、国内問題にどう取り組むのかよく解りません。
我が国の構造的な問題である少子高齢化に真正面から挑み、「希望を生み出す強い経済」、「夢をつむぐ子育て支援」、「安心につながる社会保障」の「新・三本の矢」の実現を目的とする「一億総活躍社会」に向けたプランの策定等に係る審議に資するため、「一億総活躍国民会議」が設置されました。
一億総活躍国民会議~首相官邸ウェブサイト
最近メディアで良く取り上げられる「一億総活躍社会」という言葉ですが、そのまま理解すると「国民全員で働け!」という事なのかな?と思いますよね。
しかし、11月27日に発表された一億総活躍会議の文章を読んでみると、少し思っていたのと違う。
まず経済対策として今までやってきた「三本の矢」がある程度効果を発揮していて、国民の実生活は別として一部企業の収益は大きく改善し、内部留保が積みあがり、株価も安定しています。
そして、次は国民の実生活を良くするために、新しい三本の矢「新・三本の矢」をやりますよという話のようです。
では「新・三本の矢」ってなんなんでしょ?
安倍政権か掲げる新・三本の矢
第一の矢:希望を生み出す強い経済
目標:GDP600兆円
・賃上げによる労働分配率の向上:最低賃金の全国加重平均1000円をめざすなど。
・生産性革命による設備投資の拡大と生産性の向上:法人税率20%台へ引き下げなど。
・働き方改革やイノベーションによる生産性向上など:扶養内労働いわゆる 103 万円、130 万円の壁の原因となっている税・社会保険、配偶者手当制度の在り方を検討など。
第二の矢:夢をつむぐ子育て支援
目標:希望出生率1.8
・若者の雇用安定・待遇改善:若者の円滑な就職支援や非正規雇用労働者の正社員転換・待遇改善の推進、被用者保険の更なる適用拡大の検討など。
・仕事と子育てを両立できる環境:非正規雇用労働者が育児休業を取得し、継続就業しやすくするための制度見直しを検討するなど。
・保育サービスなどから結婚から出産、妊娠、子育てまで切れ目ない支援:2017年度末までに50万人分の保育施設整備、幼児教育の無償化など。
第三の矢:安心に繋がる社会保障
目標:介護離職ゼロ
・介護サービスの確保:2020年代初頭までに50万人以上の介護施設などを追加整備など。
・家族が介護と両立できる環境:介護休業給付の給付水準(40%)について、育児休業給付の水準(67%)を念頭に引上げを検討するなど。
・健康寿命の延伸:個人の予防・健康づくりに向けたインセンティブを付与する取組の拡大等の目標達成のための支援を行うなど。
といった内容になっています。知っていましたか?
さらに詳しく知りたい方は、下記リンク先にPDFファイルがあります。
「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策-成長と分配の好循環の形成に向けて-」
実際に読んでみて思うのは、結局検討という言葉が目立ち何をするのかよく分からない。
また、介護休業給付を上げても介護休業自体、大企業や公務員が対象という気がしますね。ギリギリの人数でやっているような中小企業、人数に余裕のないシフト勤務の派遣社員などはどうなるんでしょう。
休んだら代わりを入れられて、帰ってくる場所が無くなるような気が・・・必要人数ギリギリでやってるところは、帰ってくるまで人員の枠を開けておくとか無理でしょうから。さらに言えば、非正規は有期雇用なんです。1ヶ月更新とか3か月更新、1年更新が多いですよね。どうすんの?
また、若者の就業支援と言いますが、私のように途中で会社がなくなってしまった中年はどうなるんでしょう。毎日新聞によると、35歳以上の中年フリーターの増加に歯止めがかかっていないそうです。2015年で273万人、2000年から現在も絶賛急上昇中です。低所得でまともに貯蓄も無い、厚生年金に加入してない、そんな層が高齢化したら生活保護費が大変な事になりそうです。
保育施設や介護事業所云々なんて、そもそも働く人が足りません。働きたいという人も足りません。割に合わない職場として、不人気職ですよ。施設を作ったところで、どうするんでしょうね。
関連:今のままじゃ介護施設の虐待は無くならない・・・介護福祉士なんてなるもんじゃないよ。
一億総活躍社会が目指すもの
結局「一億総活躍社会」ってなんなのか、実際に読んでみて解った事は国民全員で働きましょう!という事ではありませんでした。
今後50年で人口は8,000万人になり、100年後には4,000万人にまで減ってしまうという推計が出ています。なので、50年後に1億人を維持できるように取り組んでいきましょうという事なんですね。
その為に重要な事として、政府が言っているのは
若者も高齢者も、女性も男性も、障害や難病のある方々も、一度失敗を経験した人も、みんなが包摂され活躍できる社会、それが一億総活躍社会である。すなわち、一人ひとりが、個性と多様性を尊重され、家庭で、地域で、職場で、それぞれの希望がかない、それぞれの能力を発揮でき、それぞれが生きがいを感じることができる社会を創る。
そのために、一人ひとりの希望を阻む、あらゆる制約を取り除き、活躍できる環境を整備する。
包摂(ほうせつ):ある概念が、より一般的な概念につつみこまれること。特殊が普遍に従属する関係。(コトバンク)
ようするに「性別に関係なく、事情があって頑張れない人や、失敗して立ち直れない人、事情がある人も無い人もみんなが活躍出来て、希望をもって楽しく暮らせる社会を作りましょう。」ということ。
理想はイイですよね、そんな社会になって欲しいと思います。
まあ、とにかく何かをしようと政府も頑張っているので、国民として理解し協力していくべきなんでしょう。今回の三本の矢が「新」ではなく「真」になって欲しいと願うばかりです。
もはや日本はかつてのような豊かな国じゃなくなっています、1人あたりのGDPは27位にまで下落。とにかく、労働者の生産性が先進国の中では低すぎるんです。
日本独特の雇用制度の見直しや、資格制度の見直し、一部資格の撤廃などの規制緩和による新規参入の促進など、根本的な部分から改革する必要がありそうですけどね。もう戦後の経済発展モデルは通用しないんですよ、バブル崩壊後の政策で完全に失敗したのですから国民自身の意識も変えていかないといけません。
将来が不安でチャレンジ出来ないとか言って、安定志向で公務員目指すとか、お金が使えないとか、そんな事言ってると国全体が沈んでいきます。政府が何とかしてくれるではなく、自分たちが何とかしなければなりません。
社会は国民一人ひとりによって構成されています、政府がどうこうよりも国民の意識改革が必要だと思います。国民が変化を受け入れて変わらなければ、そこから選ばれた人たちが運営する政府も変わるはずがありません。政治は国民の意識を写す鏡です、ダメだと思ったら国民がダメなんです。
少しでも世の中が良くなるように、まずは稼がなければなりません。千円でも多く、一万円でも多く、給料が上がらないなら別の収入の道を探す必要があります。今はクラウドワークスなど、個人で仕事を受ける環境は整っています。一度、クラウドワークスを覗いてみてください、個人向けに凄い数の仕事の発注がありますよ。
とにかくチャレンジして稼ぐ事が重要です、社会保障費も地方に分配する予算も、皆で稼いだ富を分配するしかないのですから。
最新情報をお届けします
Twitter で佐賀ポータルをフォローしよう!
Follow @SagaPortalCopyright © 佐賀ポータル All rights reserved.